量を食べられないのは
年齢のせい？
「しっかり食べられない」、「いつの間にか体重が減っていた」――そんな症状は身体からの大切なサインです。「年齢のせい」「忙しいから」と片付けず、早めにご相談ください。当院では内視鏡（胃カメラ・大腸カメラ）を含む専門検査と丁寧な診察で原因を見極め、回復まで寄り添います。
体重減少・食欲不振とは
体重減少とは、明らかな運動やダイエットをしていないのに、数週間から数か月の間に体重が減っていく状態を指します。
とくに6か月～12か月に5％以上（60kgの方なら3kg以上）の体重減少がある場合は、何らかの疾患が関係している可能性が高くなります。
一方、食欲不振とは「食べたいという気持ちが湧かない」「食事をおいしく感じない」「すぐにお腹いっぱいになる」などの状態を指し、体重減少と併せて起こることが多く見られます。
一時的な体調不良や疲れ、夏バテなどでも起こりますが、長引く場合は身体の内側で病気が進行している可能性もあります。
体重減少で
病気の目安はどれくらい？
医学的には「6か月以内に体重の5％以上減少」している場合、病的な体重減少と判断されます。
例えば60kgの方が57kg以下になっていたら要注意ということになります。
体重の減少だけでなく、以下のような症状があれば、医療機関を受診するサインです。
早期の段階では症状がわかりにくい病気も多くありますので、体重の減少が気になったら、自己判断せずに医師に相談することが大切です。
食欲不振でも
お腹がすくことある？
「お腹は鳴るけれど、食べたい気がしない」といった感覚を経験したことはありませんか？
これは消化管の空腹サイン（蠕動運動）と、脳の食欲中枢のバランスが崩れている状態で見られることがあります。
ストレスや自律神経の乱れ、睡眠不足、内臓機能の低下などが原因で「お腹はすくけれど、食欲がわかない」状態になってしまうことがあります。
機能性ディスペプシアや軽度のうつ病でも同様の症状が見られることがあり、日常生活では見過ごされやすいのが特徴です。
体重減少・食欲不振の原因
体重減少・食欲不振は、「消化器の異常」「内分泌の異常」「精神的な要因」など多岐にわたります。主な疾患は以下の通りです。
胃がん・大腸がん
早期は症状が目立たないこともありますが、進行すると食欲低下や体重減少、貧血、腹部不快感、便通異常が現れてきます。とくに40代以降で急な体重減少がある場合、精密検査が必要です。
機能性ディスペプシア（FD）
胃の働きの異常によって、食後のもたれ感、早期満腹感、胃の痛みなどが起こる病気です。検査では異常が見つからないため、症状が軽視されやすいですが、生活の質に大きな影響を与える疾患です。
甲状腺機能亢進症
（バセドウ病など）
代謝が過剰になり、食欲はあっても体重が減ることがあります。動悸や手の震え、汗が多い、イライラする、眠れないといった症状を伴うこともあります。
インスリンの働きが不十分なことでエネルギー代謝がうまくいかず、食事量が変わらなくても体重が落ちていくことがあります。多飲・多尿・倦怠感を伴うケースも見られます。精神的ストレス・うつ病
ストレスやうつ状態では、脳の食欲中枢の働きが低下し、味覚障害や意欲低下も伴います。「好きだったものが食べられなくなった」「食事が苦痛になった」と感じたら注意が必要です。
その他にも、重度の肺気腫、心不全、非代償性肝硬変などの重要臓器の障害時に異化亢進（体の中の物質を分解してエネルギーを作りすぎる状態）や食欲不振による栄養不足が重なりやせが進行してしまうこともあります。
体重減少・食欲不振の原因は
ストレス？
強いストレスを感じているとき、胃腸の動きが抑制されたり、ホルモンバランスが乱れることで、自然と食欲が低下します。
とくに、自律神経のバランスが乱れると「お腹はすいているのに食べられない」「食事中に気持ちが悪くなる」といった症状が出やすくなります。
また、過去のトラウマや仕事・家庭の悩み、長期的なストレス状況が続くと、うつ病や摂食障害に進行することもあります。
体重減少や食欲不振がストレスに起因しているかどうかは、医療機関での問診・診察で初めて明確になることが多いため、心当たりのある方はご相談ください。
※精神科・心療内科をはじめ、専門的な検査や治療が必要そうな場合には、連携する医療機関をご紹介させていただきます。
体重減少・食欲不振の症状
患者さんが訴えられることの多い症状には、以下のようなものがあります。
- 最近食べる量が明らかに減った
- 食べるとすぐに満腹になってしまう
- お腹はすいているのに食べる気にならない
- 食事の味が薄く感じる、味覚に違和感がある
- 服がブカブカになった
- 知らぬ間に3kg以上体重が落ちた（元の体重にもよります）
- 体力が落ちて疲れやすくなった
- 周囲から「やせた？」と言われる
- 胃がもたれやすく、食べると苦しい
- 気分が落ち込み、食事が進まない
など
体重減少・食欲不振があるとき
の検査・診断
まずは丁寧な問診・診察から始め、原因を絞り込んでいきます。必要に応じて以下の検査を実施します。
- 血液検査：貧血、甲状腺ホルモン、糖尿病、炎症反応、栄養状態の確認
- 腹部超音波検査：肝臓、胆嚢、すい臓、腎臓などの構造評価
- 胃カメラ（上部内視鏡検査）：胃炎、胃潰瘍、胃がんなどの精査
- 大腸カメラ（下部内視鏡検査）：大腸がんやポリープ、炎症性腸疾患の確認
- 便検査・尿検査：出血や感染、代謝異常の評価
当院では苦痛の少ない胃カメラ・大腸カメラに対応しております。
一番の原因となる消化管の精査は内視鏡による検査が最もはっきりします。
当院では鎮静剤を使用した検査を行っていますので、不安がある方もご安心ください。
体重減少・食欲不振があるとき
の治療（治し方）
治療は原因に応じて異なりますが、当院では以下のようなアプローチで対応いたします。
消化器疾患
（胃がん・潰瘍など）
内視鏡や画像診断により病変を把握し、適切な治療方針を立案します。必要に応じて連携医療機関と協力し、治療を進めます。
ストレス・自律神経失調・うつ病
患者さんの気持ちに寄り添いながら、生活改善指導・薬物療法（必要に応じて）・心理的サポートを行います。
栄養状態の改善
補助食品の導入や食事内容の提案、実行しやすい食事ポイントをお伝えします。低栄養状態の改善を目指します。
漢方薬や整腸剤など
西洋薬だけでなく、漢方や機能改善薬を組み合わせ、体への負担を最小限に抑えながら治療します。
大切なのは、「何かおかしいな」と感じたときに一歩踏み出してみることです。
早期の受診が、回復への第一歩になります。気になる症状がありましたら、当院までご相談ください。
