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炎症性腸疾患(IBD)

炎症性腸疾患とは

炎症性腸疾患(IBD)は、自分のからだの免疫が腸の粘膜を攻撃してしまうことで炎症が長く続く病気の総称です。「潰瘍性大腸炎(UC)」と「クローン病(CD)」が代表的な疾患で、下痢・血便・腹痛・微熱・体重減少などの症状が出現します。
症状には波があり、落ち着く「寛解」とぶり返す「再燃」をくり返すのが特徴です。炎症をきちんと抑えて粘膜を治す(粘膜治癒)ことが、日常生活の質や将来の合併症リスクを下げる近道です。
当院では、まず「いま炎症がどれくらいか」「どの範囲にあるか」を体に負担の少ない検査から順に確認し、患者さんと一緒に無理のない治療計画を立てます。


潰瘍性大腸炎とは

潰瘍性大腸炎は、厚生労働省の特定疾患に指定されている慢性難治性炎症性腸疾患です。
現在の潰瘍性大腸炎の推定患者数は、22万人と見積もられています。これは世界的にみてもアメリカに次いで第2位となっています。
男女差はほぼありません。発症のピークは、20~24歳にあり高齢になるほど減少するが60~64歳に軽度の増加があり、2峰性のパターンとなっています。
潰瘍性大腸炎は、直腸から連続的につながる大腸の粘膜に炎症・潰瘍ができる病態です。
症状としては、血便・粘血便、便回数の増加、しぶり腹、腹痛、だるさ・発熱などが出ます。
寛解と再燃を繰り返すが、長年の炎症が大腸がんのリスクが高くなるため、症状がなくても「見た目の粘膜が治っている状態(粘膜治癒)」を大腸カメラで定期的に確認することが大切です。

潰瘍性大腸炎の原因

潰瘍性大腸炎の発症原因は、明確に解明されていないものの、生まれ持った体質(遺伝的因子)、腸内細菌のバランス、食事・感染・喫煙歴などの環境因子、腸のバリア機能や免疫反応の偏りが重なって発症することが明らかにされてきました。
潰瘍性大腸炎に関しては、喫煙が保護的因子として働くこともわかっており、クローン病と異なるところもあります。その他にも虫垂切除(20歳以下で切除した場合)が潰瘍性大腸炎の発症を抑制しているとの研究発表もあります。
その他に、先進国に多く発展途上国に少ないといわれているため、衛生環境も病気の発症に関与していると推測されています。

潰瘍性大腸炎の症状

など

潰瘍性大腸炎が疑われるときの
検査・診断

まずは採血(炎症・貧血の確認)、便検査(便中カルプロテクチン・感染症の除外)を行い、確定診断には大腸カメラと粘膜生検が必要です。大腸カメラでは「炎症の強さ(重症度)」と「広がり(範囲)」を見て、治療方針や通院間隔を決めます。当院は「できるだけ苦痛の少ない大腸カメラ」を心がけ、鎮静にも対応しています。検査は平日・土曜に枠をご用意しています。気になる症状が続く方は、ひとりで悩まず早めにご相談ください。

大腸カメラ

潰瘍性大腸炎の治療(治し方)

治療の目的は「症状を止める(寛解導入)」→「再燃を防ぐ(寛解維持)」です。
軽~中等症では5-ASA(内服・坐剤・注腸)を基本に、炎症が強い時はステロイドで勢いを短期間で抑えます。再燃をくり返す方や重症例では、免疫調整薬や生物学的製剤、JAK阻害薬などを状況に応じて選びます。貧血や栄養のケア、ワクチン計画、感染対策も大切です。点滴での治療導入や入院加療が適切と判断される場合は、連携する病院に速やかにご紹介します。外来では「薬は最小限、炎症コントロールは最大限」を合言葉に、生活と両立できる治療を一緒に探します。


クローン病とは

クローン病は、口から肛門まで消化管のどこにでも炎症が起こりうる病気で、腸の深い層まで炎症が及ぶのが特徴です。小腸の病変も多く、腹痛・下痢・体重減少・微熱のほか、腸管の狭窄や瘻孔、肛門の腫れ・痛み・排膿(肛門病変)を伴うことがあります。
栄養吸収の障害や関節・皮膚・眼など消化管外の症状が出ることもあり、長期の見通しを立てて炎症と合併症の両面を管理していきます。
さらにクローン病においては、臨床的活動性と腸管病変の活動性さらには血液学的所見との間に乖離所見が存在することも注意が必要です。

クローン病の原因

潰瘍性大腸炎と同様に、明確に解明されていないものの、遺伝的因子、腸内細菌のバランス、環境因子、腸のバリア機能や免疫反応の偏りが重なって発症すると考えられています。
とくにクローン病に関しては、潰瘍性大腸炎とは異なり喫煙が増悪因子として知られており、再燃や狭窄のリスクが上がるため禁煙が重要になってきます。

クローン病の症状

  • お腹がキリキリ痛む
  • 食後にお腹が痛くなる
  • 腹部違和感を覚える
  • 水様〜泥状の下痢が続き、夜中にもトイレで起きる
  • 体重が落ちた・だるい・微熱が続く
  • 食べるとすぐお腹が張る・少量でつかえる感じ(狭窄のサイン)
  • 肛門が腫れて痛い・膿が出る(肛門病変)
  • 口内炎が繰り返す
  • 関節痛や皮膚の赤み・しこりが出る

クローン病では、発症初期は潰瘍性大腸炎のように粘液交じりの血便は少なく、下痢と腹痛のみといった場合が多いです。貧血・体重減少などを契機に検査を受けて、診断に至ることも少なくありません。

クローン病が疑われるときの
検査・診断

潰瘍性大腸炎と同様に、採血・便検査に加え、大腸カメラで回盲部まで観察し、生検で特徴的所見を確認します。小腸の評価は必要に応じて小腸造影、CTエンテログラフィー/MRエンテログラフィー、小腸バルーン内視鏡やカプセル内視鏡などを組み合わせます。
肛門病変は視診・触診・肛門鏡を用いて行っていきます。
検査はなるべく負担の少ない順番で段階的に進めていきます。もちろん当院では、大腸カメラ検査も鎮静で行いなるべく苦痛のない検査を行っております。

※カプセル内視鏡や小腸内視鏡などが必要な場合には、医療機関をご紹介させていただきます。

大腸カメラ

クローン病の治療(治し方)

病期(寛解期か寛解期か)、重症度、病変範囲(大腸型、小腸型、小腸・大腸型、肛門周囲病変)、疾患パターン(炎症、狭窄、瘻孔)腸管外病変の有無などをとらえて最適の治療法を選択していく必要性があります。

栄養療法

エレンタールという成分栄養剤やツインラインという消化態栄養剤を用いる経腸栄養法です。

薬物療法

5-ASA製剤(内服・注腸・坐剤)やステロイド、免疫抑制剤、生物学的製剤(抗TNFα製剤など)を使用します。

内視鏡治療

狭窄症状を伴うが、高度な狭窄でない場合に内視鏡的バルーン拡張術の適応があります。
狭窄部まで挿入し、内視鏡で見ながらバルーンのついた拡張器具を用いて狭窄部を拡張する治療です。

手術療法

膿瘍や瘻孔や内科定期治療で改善しない腸閉塞などの状況が生じた時に手術で膿を除去したり、腸の一部などを切除することで治療を行います。

なかみち内科・内視鏡クリニック