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食道がん

食道について

食道は咽頭(のど)と胃の間をつなぐ管状の長さ25~30cmほどの長さの臓器です。
食道の働きは、口から食べた食物を胃に送ることです。食物は重力で下に流れるとともに、食道の壁の中の筋肉が動くことで胃に食物を送る働きをしています。
食道には消化機能はなく、食物の通り道に過ぎません。


食道がんとは

食道がんは、食道の内面を覆っている粘膜の表面からできます。
食道のどこにでもできる可能性がありますが、約半数が食道の中央付近か、下1/3に最も多く発生します。また、食道内にいくつも同時にできることもあります。
食道の壁の粘膜内にとどまるがんを「早期食道がん」、粘膜内から粘膜下層までのがんを「食道表在がん」と呼びます。
がんが成長すると、食道の壁を越えて周囲の臓器に広がることがあります。この過程を「浸潤」と言います。また、がんが食道の壁のリンパ管や血管に浸潤し、リンパ液や血液を通じて体の他の部分に広がることを「転移」と呼びます。


食道がんの症状

食道がんの初期は無症状です。健診の内視鏡検査で発見されたり、胃もたれなどの症状の精密検査で偶然発見察されることもあります。
進行するにつれ症状も目立つようになってきます。

訴えの多い症状としては

  • 食物のつかえ感がある
  • のみ込みが悪い感じがする
  • みぞおちあたりの違和感、痛みがある
  • 食欲低下・体重減少
  • 背中の痛みや声のかすれ(嗄声;させい)がある
  • 喀血や呼吸困難

などがあります。

食道がんに似た症状の病気は?

食道がんと似た症状を呈する病気には、下記のようなものがあります。

逆流性食道炎

胃酸や十二指腸液が食道に逆流して食道の粘膜に炎症を起こす病気です。

食道潰瘍

口に入った飲食物を胃へ送る食道に潰瘍が生じた状態です。食道を覆う粘膜の深いところにまでダメージが及んでえぐれたように見えます。

食道カンジダ症

カンジダという真菌(カビの一種)が食道内に感染して増殖し、食道粘膜に炎症を起こす病気です。

良性食道狭窄

食道の一部が狭くなり食べ物が通りづらくなっているような状態です。

食道アカラシア

食道の蠕動運動が障害され胃と食道の境界あたりの筋肉が十分に開かなくなり、食物の通貨障害や食堂の拡張が起こる病気です。


いずれも胸焼け、つかえ感、胸痛、嚥下困難などが共通し、初期段階では区別が難しいことが特徴です。症状だけで自己判断すると治療が遅れる恐れがあるため、胃カメラや組織検査による確定診断が重要です。


食道がんの原因

食道がんの発生する主な要因は、喫煙と飲酒です。とくに日本人に多い扁平上皮がんは、喫煙と飲酒との強い関連があるといわれています。

飲酒

アルコールは食道粘膜に直接刺激を与えるだけでなく、代謝産物のアセトアルデヒドが発がん性を持つことが知られています。とくにアセトアルデヒドを分解する酵素(ALDH2)の活性が低い体質の人では、同量の飲酒でもアセトアルデヒドが体内に長く残り、食道がんの発生する危険性が高まるといわれています。

喫煙

タバコの煙には4000種類以上の化学物質および250種類以上もの毒物・発がん物質が含まれています。食道がんでは喫煙者では非喫煙者に比べて7倍高いといわれています。
そして、飲酒が加わるとさらに上乗せされるといわれているため食道がんでは、最大約35倍のリスクがあるといえます。

熱い飲み物の習慣

70度を超える「とても熱い」お茶を好む人は、「冷たい/ぬるい」お茶を好む人と比べて、食道がんを発症する可能性が2.41倍高かった。という海外の研究結果もあります。
食道の粘膜がやけどすると、それを治すために細胞が修復・再生しようとします。
修復・再生の過程を何度も何度も繰り返すうちに、遺伝子に傷が付き、がん細胞が発生しやすくなります。

食道アカラシアや慢性食道炎

食道アカラシアは下部食道括約筋が弛緩せず、食物が停滞・発酵して粘膜を長時間刺激します。逆流性食道炎やバレット食道も粘膜に慢性炎症を起こし、食道がん(腺がん)のリスクを高めます。これらの基礎疾患がある場合は、定期的な内視鏡フォローが不可欠です。

食道がんの原因はストレス?

ストレス自体が直接 DNA を傷つけて食道がんを発生させるという明確なエビデンスはありません。しかし、強いストレス状態では飲酒量や喫煙量の増加、暴飲暴食、生活リズムの乱れが起こりやすく、間接的にリスクを押し上げることがわかっています。また、ストレスによる胃酸分泌過多や逆流の悪化が慢性食道炎を助長し、粘膜の障害と再生を繰り返すことで発がん環境を整える可能性があります。ストレスマネージメントは一次予防の観点でも重要と考えます。


食道がんになりやすい人

食道がんは、40歳代後半から増え始め、70歳代男性にピークがあります。
とくに、長年の多量飲酒・喫煙を続けている人、お酒を飲むと顔が赤くなりやすい人(フラッシャーといいます)、アセトアルデヒドを分解する酵素の活性が低い人です。
その他にも、熱い飲食物を好む人や食道アカラシアや慢性食道炎など食道の基礎疾患を持つ人、家族に食道がん患者がいる場合も若干リスクが高いと言われています。
40歳を過ぎたら年に1回の内視鏡検査を推奨します。

食道がんはどの辺が痛む?

食道がんによる痛みは、胸骨(胸の真ん中の骨)の裏側からみぞおちにかけての中部~下部食道で感じることが多いですが、病変の位置により首元や背中、肩甲骨あたりの背中側へ放散することもあります。
初期の症状としては、「しみる」「つかえる」程度の軽い違和感ですが、がんが進行して食道壁を超えて、周りの神経や周囲臓器に浸潤すると「刺すような痛み」「締め付けるような痛み」に変化します。

食道がんは進行が早い?

食道がんは、胃がんや大腸がんと比較して進行が早く、がん全体の中でも比較的進行が速い方に属します。
食道の周りには血管やリンパ節が豊富であり、胃がんや大腸がんよりもがん細胞がほかの臓器に転移しやすいということが理由です。
それ以外にも、胃や大腸は一番外側に漿膜(しょうまく)という膜に覆われていますが、食道にはありません。そのためがんが大きくなると、近くの臓器にがんが広がりやすいからです。
一方、粘膜内にとどまる早期がんで発見できれば、内視鏡治療で完治が期待できます。そのためにも、定期検査での早期発見が最重要です。


食道がんが疑われるときの
検査・診断

第一選択は胃カメラ(上部消化管内視鏡)です。色素内視鏡やNBI 拡大観察を併用すると粘膜微細構造を詳細に評価でき、微小がんも検出可能です。疑わしい病変があれば生検を行い、組織学的に確定診断します。
病期診断(がんの進行ぐあい)には胸腹部CT、頸部・腹部超音波、PET CTなどを組み合わせてリンパ節や多臓器への遠隔転移の有無を評価し、治療方針を決定します。CT検査などが必要な場合には、連携する医療機関をご紹介させていただきます。

胃カメラ


食道がんの治療(治し方)

治療は病期と患者さんの全身状態によって決めていきます。
粘膜内に限局した早期がんでは、胃カメラを使ってがん部分だけを薄くはぎ取るESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)で、体への負担を抑えて治療を行います。
粘膜下層深部や筋層に及ぶ場合(少し深くまで入り込んだがん)は、外科的手術(胸腔鏡・腹腔鏡下食道切除+リンパ節郭清)が標準です。
高齢・合併症などで手術リスクが高い場合や進行例には、抗がん剤で治療をする化学療法や、放射線と化学療法の同時併用(化学放射線療法)で治療を目指します。
治療後も胃カメラやCT検査を定期的に受け、再発がないか確認しましょう。
※手術や化学療法、化学放射線療法、CT検査などが必要な場合には連携する医療機関をご紹介させていただきます。

なかみち内科・内視鏡クリニック