大腸がんの患者数(罹患者)は
増加している?
大腸がんの患者数は2023年で56万人以上、大腸がんによる死亡者数は53,131人と増加傾向にあります。若年層でも増加傾向にあります。
がん罹患数の順位
(2021年)
| 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
| 男性 | 前立腺 | 大腸 | 肺 | 胃 | 肝臓 |
| 女性 | 乳房 | 大腸 | 肺 | 胃 | 子宮 |
| 総数 | 大腸 | 肺 | 胃 | 乳房 | 前立腺 |
*国立がん研究センター がん統計より抜粋
がん死亡数の順位
(2023年)
| 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
| 男性 | 肺 | 大腸 | 胃 | 膵臓 | 肝臓 |
| 女性 | 大腸 | 肺 | 膵臓 | 乳房 | 胃 |
| 男女計 | 肺 | 大腸 | 膵臓 | 胃 | 肝臓 |
*国立がん研究センター がん統計より抜粋
大腸がんとは
大腸がんは大腸(結腸と直腸)の粘膜から生じるがんで、日本ではS状結腸と直腸に比較的多く見られます。多くは「腺腫(良性のポリープ)」が時間とともにがん化して発生します。それ以外にも正常な粘膜から直接がんが生じるものもあります。
がんは粘膜に発生した後、しだいに大腸の壁の深部へ広がります。さらに進むと壁の外側に及び、膀胱・子宮・前立腺・腟などの隣接臓器に入り込むことがあります。また、腹腔内に散らばる腹膜播種(ふくまくはしゅ)を起こしたり、リンパ液に乗ってリンパ節転移、血流に乗って肝臓・肺などへの遠隔転移を来すこともあります。転移巣(例:肝臓や肺のしこり)が先に見つかって、大腸がんが後から判明するケースもあります。
大腸がんのほとんどは腺がんです。腺がんには、乳頭腺がん・管状腺がん・低分化腺がん・粘液がん・印環細胞がん・髄様がんなどのタイプがあり、タイプや広がり方によって治療の方針が変わることがあります。
大腸がんの原因
大腸がんは一つの原因で起こる病気ではなく、生活習慣・体質・腸の状態など複数の要因が重なって発症します。
飲酒、喫煙、運動不足、肥満により大腸がんが発生するリスクが高まります。女性では、加工肉や赤肉の摂取により大腸がんが発生する危険性が高くなる可能性があるといわれています。長く炎症が続く病気(潰瘍性大腸炎・クローン病)や、良性ポリープが放置されることも「がん化」の土台になります。家族に大腸がん・ポリープ歴のある方、遺伝性の体質(家族性腺腫性ポリポーシス、リンチ症候群など)がある方は注意が必要です。
年齢とともにリスクは上がるため、症状がなくても定期的な大腸カメラで「早く見つける」ことが何より大切です。
大腸がんの症状
早期の段階では自覚症状はほとんどありません。進行すると症状が出現してきます。
少しでも当てはまり、症状が気になる方は自己判断せず、大腸カメラも対応できる当院へご相談ください。
大腸がんになると
おならがよく出る?
おならの変化は、大腸がんの典型的な症状ではありません。
がんが進んで腸の内腔が狭くなると、お腹の張り(腹部膨満)やガスが溜まって出にくい、ガスとともに差し込むような腹痛がみられることがあります。これは「通過の妨げ(部分的な腸閉塞)」による変化です。
ただし「おならの臭いが強い=大腸がん」というわけではありません。臭いの変化は食事内容(にんにく・アルコール・高脂肪食・炭酸飲料など)、便秘、過敏性腸症候群、乳糖不耐症、薬剤などでも起こります。気になる症状が続く場合はご相談ください。
大腸がんのうんち(便)の特徴
下部(直腸側)の出血は鮮やかな赤い血が混じることが多く、大腸の奥(結腸側)での出血は暗赤色~黒っぽく見えることがあります。腸の内側が狭くなると「細い便」「コロコロ便」「途中で途切れる便」になったり、粘液が付着したりすることもあります。においの変化だけで判断はできませんが、いつもと違う便が続いたら受診をしましょう。便潜血検査で陰性でも見逃される場合があるため、症状がある方は大腸カメラでの確認が安心です。
大腸がんが疑われるときの
検査・診断
はじめに問診・診察、血液検査、便潜血検査などでリスクを評価します。確定診断と正確な評価には大腸カメラ(内視鏡)が必須で、病変を直接観察し、その場で組織を採取(生検)して診断します。ポリープの段階なら日帰り切除が可能なこともあります。進行度の把握にはCTなどの画像検査や腫瘍マーカー(補助的)を併用します。
当院では、できる限り苦痛に配慮した大腸カメラをご案内し、結果に応じて適切な治療・連携先をご提案します。
大腸がんのステージ
病気(ステージ)は、治療方針の決定や予後を左右にも重要な指標です。
大腸がんの病期(ステージ)は、
- 腸の壁のどこまで深く入り込んだか(深達度)
- リンパ節転移の有無
- 遠隔転移(肝・肺など)の有無で総合的に決まります。
おおまかにわけると、粘膜内の「0期」、腸壁の浅い層までの「Ⅰ期」、筋層~外側に及ぶ「Ⅱ期」、リンパ節に及ぶ「Ⅲ期」、遠隔転移のある「Ⅳ期」に区分され、治療方針や治癒の見込み(予後)に直結します。たとえば0期~早期Ⅰ期では内視鏡切除が第一選択になることがあり、より進行した場合は外科手術や薬物療法を組み合わせます。正確なステージ判定のためにも、大腸カメラとCT検査などの画像所見などを総合的に丁寧な評価が重要です。
大腸がんの進行速度
多くの大腸がんは、良性ポリープから「がん化」して数年単位で進行すると考えられています。(5~10年くらいの年月がかかるともいわれている)ただし、腫瘍のタイプ(分化度)や発生部位、体質により進み方には個人差があります。初期は自覚症状に乏しく、症状が出る頃には進行していることも少なくありません。だからこそ「症状がなくても定期的に検診」「便潜血陽性を放置しない」「気になる変化があれば早めに大腸カメラで確認」が重要です。
大腸がんの治療(治し方)
治療は病期と患者さんの全身状態によって決めていきます。
粘膜内~ごく浅い層にとどまる早期がんでは、大腸カメラを使ってがんの部分だけを除去します。内視鏡的粘膜切除(EMR)や粘膜下層剥離術(ESD)が選択され、腸を温存しながら根治が期待できます。
筋層まで達する・リンパ節が心配な場合は、外科手術(腸切除+リンパ節郭清)が標準です。進行・再発例では、外科手術に加えて薬物療法(化学療法・分子標的薬など)や放射線治療を組み合わせます。
治療後は再発の有無や二次がんのチェックのため、内視鏡検査・画像検査・血液検査での定期フォローが大切です。当院は「早期発見」と「内視鏡で治せる段階の治療」を重視し、必要に応じて専門病院と緊密に連携します。


