- 黒い便が1回だけ出た!心配いらない?
- 便潜血陽性=大腸がんではない?!
- 血便とは
- ストレスで血便が出る?
- 血便の種類
- 血便(便潜血陽性を指摘された)の際に行う検査
- 血便で医療機関を受診したほうが良いタイミングは?
黒い便が1回だけ出た!
心配いらない?
黒い便(タール便)は、消化管の上部(胃や十二指腸など)からの出血が原因で起こることがあります。1回だけで、その後に症状がなければ大きな問題でない場合もありますが、消化管出血の可能性があるため注意が必要です。とくに、腹痛や貧血、繰り返す黒色便がある場合は速やかに医療機関を受診してください。自己判断せず、念のため専門医の診察を受けることをおすすめします。
便潜血陽性=
大腸がんではない?!
便潜血陽性は、必ずしも大腸がんではありません。便潜血陽性の場合に考えられる大腸がん以外の病気を以下に紹介いたします。
痔(いぼ痔・切れ痔)
痔は、便潜血陽性の最も一般的な原因です。いぼ痔(内痔核)は排便時に便と一緒に赤い血が出やすく、切れ痔(裂肛)は硬い便で肛門が切れて出血します。自覚症状がなくても、トイレの際に少量の血液が便に付着し、便潜血検査で陽性になることがあります。良性ですが、他の病気を見逃さないためにも内視鏡検査は重要です。
大腸ポリープ
大腸の粘膜にできる突起で、多くは良性です。しかし大きさや種類によっては便の通過により表面が傷つき、少量の出血を起こすことがあります。一部のポリープは将来的にがん化する腺腫性ポリープと呼ばれ、見つかった際には切除されることが多いです。当院の大腸内視鏡検査ではポリープをその場で切除できます。
大腸憩室・憩室炎
大腸の壁の弱い部分が外側に膨らんで袋状になる状態が憩室です。憩室内で静脈が破れて出血したり、便が詰まって炎症を起こす憩室炎になると出血の原因となります。出血は一時的に自然に止まることもありますが、再発することもあるため経過観察が必要です。
潰瘍性大腸炎などの
慢性炎症性腸疾患
大腸の粘膜に慢性的な炎症やびらん(ただれ)・潰瘍が起こる病気で、自己免疫や腸内環境の異常が関係していると考えられています。軽度であっても出血を伴うことが多く、便潜血検査で陽性になることがあります。症状としては、粘血便・下痢・腹痛・発熱などがみられます。炎症が一時的に落ち着いていても、微量の出血が続いていることもあります。病気の程度を確認する必要もあり、大腸内視鏡検査は必要な検査です。
胃潰瘍
胃の粘膜が胃酸によって傷つき、深い潰瘍ができる状態です。原因はピロリ菌感染、ストレス、NSAIDs(痛み止め)の長期使用などがあります。出血がある場合、タール便(黒色便)として排出されることもありますが、微量な出血でも便潜血陽性になる可能性があります。胃の痛みや空腹時の不快感、食後の膨満感などがある場合には胃カメラを推奨します。
十二指腸潰瘍
胃よりもさらに奥、小腸の入り口にあたる十二指腸の粘膜がただれる病気です。胃潰瘍と同じく、ピロリ菌や薬剤(とくに痛み止め)、ストレスなどが原因です。ここで出血すると、便は黒くなる(タール便)か、見た目にわからなくても便潜血検査で陽性になります。胃よりも空腹時の痛みが強くなる傾向があります。
食事や排便の刺激による出血
硬い便を出した際に、肛門周囲の微細な血管が傷ついて出血することがあります。また、香辛料やアルコールの過剰摂取で腸粘膜が刺激を受け、出血につながることもあります。こうした出血は一過性で、繰り返さなければ大きな問題にならないケースも多いです。
激しい運動・ストレス・月経
長距離走などの激しい運動によって、腸内に微小な出血が起きることがありますストレスそのものが直接出血を起こすことは通常多くありませんが、便秘や下痢、いきみ癖、痔の出血を通じて間接的に陽性となることがあります。女性の場合、便に月経血が混ざることでも陽性になることがあります(検体採取のタイミングに注意が必要です)。
*「運動や月経のせいかも」と自己判断で様子見にせず、医療機関で確認しましょう。多くの自治体の検診(免疫便潜血検査)は2日法で1回でも陽性なら精密検査対象となることがあります。
血便とは
血便とは、便に赤い血液が混ざっている状態を指します。出血の場所によって見た目が異なり、鮮やかな赤い血が便の表面やトイレットペーパーにつく場合は、肛門や直腸など比較的出口に近い部位からの出血が疑われます(痔や裂肛など)。一方、便全体が黒くタール状になっている場合(下血)は、胃や十二指腸など上部消化管からの出血の可能性があります。便に赤黒い血が混ざる場合は、大腸の炎症やポリープ、大腸がんなどが原因になることもあります。いずれも正確な診断のためには消化器内科の医療機関での検査が必要です。
便潜血陽性なら血便
(お尻から血が出ている)?
便潜血陽性だからといって、必ずしも目に見える血便(お尻から血が出る)とは限りません。
便潜血検査は、肉眼では見えない微量の血液が便に含まれているかを調べる検査です。出血量が少ない場合には、便の色や見た目ではわからないことも多く、便潜血陽性が初めての出血のサインになることがあります。
一方、痔や裂肛などによる出血でも陽性になることがありますが、大腸ポリープや大腸がんなどの病気でも陽性になる可能性があるため、陽性の結果が出た場合は必ず大腸カメラなど精密検査を受けることが大切です。
便潜血陰性なら問題ない?
便潜血検査が陰性であっても、必ずしも問題がないとは限りません。便潜血検査は大腸からの微量な血液を検出するスクリーニング検査であり、出血がないか少ない場合や、出血していない病変は見逃されることがあります。とくにポリープや早期の大腸がんは必ずしも常に出血しているわけではありません。また、検査前の食事や薬の影響で結果が変わることもあります。症状がある場合やリスクが高い方は、便潜血検査だけでなく内視鏡検査などの精密検査を検討すべきです。健康管理のためにも定期的な検査と医師の相談が大切です。
ストレスで血便が出る?
ストレスが直接血便を引き起こすことは一般的には多くありません。ただしストレスで便秘や下痢が続く→いきみや肛門の刺激が増える→痔や裂肛から鮮紅色の出血といった“間接的”な経路はあります。潰瘍性大腸炎やクローン病など基礎に炎症性腸疾患がある方では、心理的ストレスが再燃に関連することはわかっています。血便が続く場合/出血量が多い場合/黒色便などのときは、必ず医療機関での検査と診断を受けることが重要です。
血便の種類
鮮血便(せんけつべん)
鮮血便とは、排便時に鮮やかな赤い血液が便に付着していたり、トイレットペーパーに血がつく状態を指します。出血源が肛門〜左側結腸の出血で目立ちやすい。疾患としては憩室出血、虚血性腸炎、痔核(いぼ痔)や裂肛(切れ痔)、直腸~S状結腸のポリープなどが主な原因です。痛みを伴うこともありますが、出血量が多く驚かれる方も少なくありません。
大量かつ急激な出血の場合には、上部消化管出血でも例外的に鮮血便が見られます。
暗赤色便
(あんせきしょくべん)
暗赤色便は、赤黒く変色した血液が便に混じっている状態で、便全体が赤黒い場合や一部に血が混ざっていることもあります。これは右側結腸や小腸からの出血が原因とされます。右側の憩室出血、小腸出血、毛細血管拡張症からの出血、がんやポリープなどが背景にあることがあります。
黒色便(タール便)
黒色便とは、タールのように真っ黒で粘り気があり、独特の悪臭を伴う便のことです。これは胃や十二指腸、食道などの上部消化管から出血し、その血液が腸内で消化されて黒くなって排出されるために起こります。原因としては胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がん、食道静脈瘤破裂などが考えられ、緊急性が高いケースもあるため注意が必要です。
*鉄剤やビスマス製剤などの薬剤でも黒くなることがあるため鑑別が必要です。
目に見えない血便(便潜血)
見た目では血液が確認できないにもかかわらず、検査で便に微量の血液が検出される状態を便潜血陽性といいます。これは早期の大腸がんやポリープ、炎症性腸疾患などのサインであることもあるため、便潜血陽性の結果が出た場合は、大腸カメラによる精密検査が推奨されます。症状がない場合でも見逃さないことが重要です。
血便
(便潜血陽性を指摘された)
の際に行う検査
便潜血陽性が指摘された場合、まずは原因を特定するための精密検査が必要です。代表的な検査は大腸カメラで、肛門から細いカメラを挿入し、大腸全体の粘膜を直接観察します。ポリープやがん、炎症性疾患、憩室などの異常を確認でき、必要に応じて生検やポリープ切除も行います。また、痔や直腸疾患が疑われる場合は直腸診や肛門鏡検査を併用することがあります。さらに、貧血や炎症の有無を調べるために血液検査も行います。症状や検査結果に応じて、胃カメラなど上部消化管の検査が必要になる場合もあります。これらの検査を通じて、早期に異常を発見し、適切な治療につなげることが重要です。
血便で医療機関を
受診したほうが良い
タイミングは?
血便が見られた際(便潜血陽性を指摘された際)は、自己判断せずに医療機関を受診することが大切です。とくに、以下のような症状がありましたら、お早めにご相談ください。
- 便の色が真っ赤、または真っ黒(タール状)
- 血便が繰り返される
- 腹痛や発熱、下痢などの症状を伴う
- 50歳以上で初めて血便が出た
- 体重減少や貧血症状を伴う
など


