お腹がパンパンに張って
苦しい方へ
お腹がパンパンに張って苦しいとき、とてもつらく不安に感じるものです。お腹の張りはガスや便がたまったり、腸の動きが鈍くなったりすることで起こります。原因の多くは良性の不調が多いです。食べ過ぎや消化不良、便秘、ストレス、あるいは腸の病気などさまざまです。急に強い痛みや嘔吐、発熱、排ガスや排便が止まる場合などがあれば、腸閉塞や腹膜炎などの緊急疾患の可能性もあるため、すぐに医療機関を受診してください。慢性的なお腹の張りでも、生活習慣の見直しや適切な治療で改善が期待できます。食事は消化の良いものを心がけ、食べ過ぎや炭酸飲料を控えること、こまめな水分補給、適度な運動が効果的です。症状が続く場合は我慢せずに専門医に相談し、安心して過ごせる毎日を取り戻しましょう。あなたの不安や苦しみを一緒に解決していきます。
腹部膨満感の原因
過敏性腸症候群（IBS）
過敏性腸症候群は、腸の働きに異常があるにも関わらず、明確な器質的疾患が見つからない機能性腸疾患です。ストレスや食生活の乱れが誘因となりやすく、腹部膨満感、腹痛、便秘や下痢が交互に現れます。腸の過敏な反応がガスの溜まりやすさを増し、不快感を引き起こします。
便秘
便秘は腸内に便が長時間滞留する状態で、ガスの排出が妨げられるため腹部膨満感を起こします。食物繊維不足や水分不足、運動不足、薬の副作用など複合要因が関与します。慢性的な便秘は腸の動きを鈍らせ、膨満感だけでなく腹痛や不快感を伴うこともあります。
腸閉塞
腸閉塞は腸の一部が狭くなったり詰まったりして内容物が通過できなくなる状態です。急激な腹部膨満感と激しい痛み、吐き気や嘔吐を伴います。強い張り・嘔吐・排便や排ガスが止まるといった症状は要注意です。こういった症状がある場合には緊急を要することが多いため、速やかな医療機関受診が必要です。
消化不良
消化不良は胃や腸での食物の消化吸収がうまくいかない状態で、食べ過ぎや脂肪分の多い食事、胃酸の不足などが原因です。消化されにくい食べ物が腸内で発酵し、ガスが発生しやすくなり腹部膨満感を引き起こします。
炎症性腸疾患
（クローン病・潰瘍性大腸炎）
炎症性腸疾患は腸の慢性的な炎症を特徴とし、腹部膨満感、腹痛、下痢、血便などの症状が現れます。炎症により腸の動きが乱れ、ガスの排出障害や腸壁の腫れで膨満感が強くなります。専門的な消化器内科治療が必要です。
胃腸感染症（急性胃腸炎）
細菌やウイルスによる胃腸の感染症は、腹痛や下痢とともに腹部膨満感を引き起こします。腸内での炎症やガスの発生が原因で、吐き気や発熱を伴うこともあります。通常は数日で改善しますが、症状が重い場合（飲水ができない場合）は医療機関受診が必要です。
小腸吸収不良症候群
セリアック病や乳糖不耐症など、小腸での栄養吸収が障害される病気では、未消化の物質が腸内で発酵しガスが発生、膨満感や下痢を生じます。栄養不足や体重減少が見られることもあります。
腹水
肝硬変や心不全などで腹腔内に液体がたまる腹水は、お腹が張る原因となります。見た目にも膨らみ、重苦しさや息苦しさを伴うこともあります。全身疾患の精査を行い原因疾患の治療が重要です。
腸管癒着
過去の手術や腹部炎症により腸が癒着すると、腸の動きが制限されて膨満感や痛みを引き起こすことがあります。症状が強く内科的な加療でも改善がない場合は手術が必要になることもあります。
腹部膨満感の原因はストレス？
ストレスが原因で腹部膨満感が起こることはよくあります。ストレスや緊張は自律神経のバランスを乱し、腸の動きや分泌機能に影響を与えます。その結果、腸の蠕動運動が低下したり、過敏になったりしてガスが溜まりやすくなり、お腹の張りや膨満感を感じやすくなります。また、ストレスによる食欲の変化や食生活の乱れも腸の調子を悪くする一因です。慢性的なストレスが続くと、過敏性腸症候群（IBS）などの症状として腹部膨満感が現れることもあります。リラックスや適度な運動、十分な睡眠を心がけ、改善が乏しい場合は専門医に相談しましょう。
腹部膨満感の検査
腹部膨満感の原因を調べるため、まず問診や身体診察で症状や生活習慣、既往歴（手術歴）を詳しく確認します。次に血液検査で炎症や感染症、貧血、肝・腎機能などを調べ、便検査では消化管出血や感染の有無を確認します。画像検査では腹部超音波検査で臓器の異常や腹水を評価し、必要に応じてCT検査で腸閉塞や腫瘍の有無を詳しく調べます。さらに胃カメラや大腸カメラによる内視鏡検査で消化管内の炎症や潰瘍、腫瘍を直接観察し、組織を採取して詳しく診断することもあります。なお、CT検査が必要な場合には、連携する医療機関をご紹介いたします。
腹部膨満感の治療
腹部膨満感の治療は、まず原因となる病気を明らかにし、それに応じた対応を行うことが基本です。便秘が原因であれば、食物繊維の摂取や緩下剤の使用で排便を促します。過敏性腸症候群（IBS）では、整腸剤や腸の動きを調整する薬を用い、ストレスの軽減や食事指導も併せて行います。消化不良や胃腸炎がある場合には、消化酵素薬や制酸薬、必要に応じて抗菌薬にて治療を行います。ガスが溜まりやすい体質の方には、ガスの排出を助ける薬や腸の動きを良くする治療が行うこともあります。
腹部膨満感の対処法
腹部膨満感を感じたときは、まず身体を温めたり、軽く腹部をマッサージすることでガスや便の排出が促されやすくなります。体を横にして膝を軽く抱える姿勢も、腸にかかる圧を調整し、膨満感の軽減に役立ちます。また、炭酸飲料や脂っこい食事、豆類などガスを発生しやすい食品を控えることも、症状の緩和につながります。これらは比較的、即効性のある対処法として、日常生活の中で取り入れやすい方法です。
腹部膨満感には
ガス抜きが効果的？
腹部膨満感の原因の一つに腸内にたまったガスがありますので、ガス抜きは症状を和らげるのに効果的な場合があります。腸のガスは食べ物の消化や腸内細菌の働きで発生し、溜まるとお腹が張って苦しくなります。お腹のマッサージや軽い運動、体を横にして膝を曲げる姿勢などはガスの排出を促し、膨満感を軽減できます。ただし、ガス以外にも便秘や腸の炎症、腫瘍などさまざまな原因で膨満感が起こるため、症状が長引く、激しい痛みや嘔吐を伴う場合は医療機関を受診してください。ガス抜きはあくまで対症療法の一つであり、原因が朝刊ガスの場合には有効です。改善のない場合は、原因の治療が重要となってきます。
腹部膨満感の予防
腹部膨満感の予防には、日頃の生活習慣を見直すことが重要です。食事では、よく噛んでゆっくり食べることを心がけ、暴飲暴食や早食いを避けましょう。腸内環境を整えるために、ヨーグルトや納豆などの発酵食品、野菜や海藻類などの食物繊維を積極的に摂ることも効果的です。さらに、適度な運動を継続することで腸の動きが活発になり、便やガスの滞留を防げます。ストレスの管理も大切で、リラックスする時間・良質な睡眠を確保することで自律神経の働きを整え、腸の不調を防ぐ助けになります。
